冷えやむくみのある女性に使われる当帰芍薬散をご紹介します

医療

 女性の聖薬、なんてことも言われることがある当帰芍薬散です。ただし、漢方処方にはそれぞれ方意といって、その処方の目指す方向性があります。当帰芍薬散にもそんな方意がありますから、女性ならどんな方でもよいというわけではありません。また男性に使うこともあります。

 基本的には貧血傾向で冷え性、水っぽくてむくみやすい、体力がなくて疲れやすい、おなかが痛むという方に処方します。イメージは竹久夢二が描くほっそりした色白美人とされています。そこで当帰芍薬散が合うような女性を称して、当芍美人などと呼ぶことがあるほどです。しかしこのイメージにあまりひきづられないことが大切です。がっちりしたタイプに見える方でも、体が冷えて浮腫みやすくて、当帰芍薬散で調子が良くなる人というのは少なくないのです。

 保険適応病名は、筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症:貧血、倦怠感、更年期障害(頭痛、頭重、めまい、肩こり等)、月経障害、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症。
となっています。

 漢方では、血のめぐりが悪い状態を瘀血(おけつ)と呼びますが、当帰芍薬散はそれを改善してくれる駆瘀血剤の一つです。当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)が血液循環を改善するとされています。蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)は水の代謝を改善してくれる利水剤とされており、浮腫をとり、過剰な水分が引き起こす冷え症状を良くしてくれます。利水剤は水分バランスを整える役割なので、利尿薬と異なり無理に体から水分を追い出したりはしませんから、脱水傾向のある方のむくみにも使えます。芍薬(シャクヤク)は筋肉の緊張を緩めることで痛みを軽減します。

 当帰芍薬散を利用できる範囲は広いと思います。冷えの傾向がある女性で、生理にまつわる不調があるなら、とりあえず使ってみても大きな間違いはないと思っています。不妊治療に利用する産婦人科の先生もおられます。安胎薬といわれることもあるように、流産しやすい方に利用される場合もあるようです。ちなみに生薬の当帰は、血流を改善して冷えを良くするとされており、エキス剤の30種類以上に含まれる大切な生薬です。当帰を漢文読みすれば当に帰るべし。昔体調を壊した妻の元を離れた夫が、当帰で元気を回復した妻の元に帰るということでつけられた名前、などといわれていますが、夫が帰るとか帰らないとかどうでもよくなるほど元気になるのではないかと思っています。

 さて、当芍美人というイメージに拘らないほうが良いと述べましたが、わたしなどは、ほとんどの女性がそれぞれ美しいと感じる(こともある)お年頃になってきましたので、当帰芍薬散の適応範囲はずいぶん広くなりました。実際のところ、がっちりタイプで色白ではないかなぁという方に、当帰芍薬散がぴったりの方少なからずおられます。当芍美人というのは、当帰芍薬散で元気になりいきいきしている人を指すのだと考えたほうが良いかもしれませんね。

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