食欲がでない

 入院患者さんの中には、食欲が出ずにほとんど食べない高齢者がおられる。加齢による機能低下や病後の体力低下と思われる場合もあるが、理由がよくわからない場合も多い。

 口腔ケアをきちっとしてあげることで口の中がすっきりして食欲が出てくる場合がある。病院では定期的に口腔ケアの専門家が巡回してくれているので、その点は助かっている。

 入れ歯が合っていないと言うこともある。この時は歯医者さんに往診してもらって調整してもらうこともあるが、入院期間内にできそうにないときには退院後に歯科を受診してもらうことになる。

 自宅に帰れる、と分かった時からぐっと食欲が出てくる方もおられる。退院して帰宅できる日が近づくにつれて、ますます元気になっていく。家族はもう少し元気になってからと希望することもあるのだが、病院なんて長居する場所ではない。いくつになっても人にとって希望と言うのは必要なんでしょうから、本人の希望を叶えてあげることも立派な治療。

 食欲を増進させる目的で、ステロイドを使うことがある。しかしその使用は、私の場合緩和ケア領域に限っている。高齢者にステロイドなどを使ってその副作用に難渋するなんて事は絶対に避けたいから。

 食欲不振に薬を使うとしたら私は漢方薬を処方する。第一選択肢は六君子湯になる。胃の動きを良くしてあげてるとともに、含有するグレリンと言う物質が食欲増進に働くとされている。これでダメならいわゆる補剤と言われる元気付けの漢方薬を処方することになる。しかし飲み始めた途端食欲が出てくるなんて事は滅多になく、しばらく服用していただいて効果を判定する。診療のいろいろな場面で漢方薬は利用できる。漢方薬を利用することで診療の幅が広がる。

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