漢方に親しむ 「麻黄(まおう)という生薬」

麻黄と聞くと魔王にも聞こえるのでいかにも怖そうな感じがします。実際には決して怖いわけではないのですが、注意が必要な生薬の一つです。それはエフェドリンなどの物質が含まれているからです。医療で使用されているエフェドリンは、麻黄から日本人が単離抽出した物質です。咳や鼻水などに使用されます。

エフェドリンの作用は交感神経を刺激することから起こるとされており、それが効果であり、時には副作用としても現れるわけです。副作用として、動悸、血圧上昇、不眠、発汗、食欲不振、不安感、尿閉などが出現することがあります。

麻黄湯の通常一日服用量に含まれるエフェドリンは、15㎎程度と思われますから、普通は副作用を引き起こすほどの量ではありませんが、どのようなものにも反応には個人差がありますから、少量とはいえ注意が必要です。また気管支喘息その他でエフェドリンを含む薬剤を使用していたり、麻黄を含む他の漢方薬を併用したりすると、副作用が出てくる危険性は高くなりますし、交感神経系を刺激するような成分が含まれる薬剤も併用には注意が必要です。

魔王を含む漢方製剤の主なものは、葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、小青竜湯、麻黄湯、越婢加朮湯、薏苡仁湯、麻杏甘石湯、防風通聖散、五積散、麻杏薏甘湯、神秘湯、五虎湯、麻黄附子細辛湯などです。市販医薬品では、総合感冒薬、咳止め、鼻炎薬などに含まれていることがあります。

エフェドリンは、ドーピング検査で引っ掛かりますから、麻黄を含む漢方薬の使用には注意が必要です。また普段から不眠傾向の強い方は、夜服用すると眠りにくくなる可能性があります。私は、葛根湯でもコーヒーでも眠れなくなることはないので気にしませんから、あまり神経質になる必要もないのかもしれません。高血圧、不整脈、前立腺肥大などの方も注意してください。いずれにしろ、どのような成分が含まれた医薬品か、どんな生薬で構成された漢方薬かに少し注意することは大切です。

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