論より漢方

漢方処方と言うものは、長い長い年月の中での試行錯誤の賜物です。様々な生薬を組み合わせたり、その量を加減したりして、人の様々な症状に対応してきたものです。そんな時間の中で効果が認められてきたものが、現在も処方として生き残っているのです。

私たちは、学校教育の中で答えが一つという問題に慣れています。これは論理的に考えれば他の選択肢がないというものです。一般西洋薬は、単一成分でできているので、その物質がどのように体内に分布しどのような効果を表すかというのは、私たちにとっても理解しやすいものです。その理解ができないような薬は忌避する人もいるでしょう。漢方薬というのはその処方の中に数千の物質が含まれていると言われており、もはや現在の科学ではどれがどのように働くかを読み解くことはできません。漢方薬の中の成分分析をして、多く含まれる物質が効果の発現に最も関与している訳ではなく、含まれる成分全体として効果を表していると思われるからです。

今後漢方薬の効き方を読み解いてくれるようなAIが開発されるのかもしれませんが、それまでは現在の漢方薬が歴史の中で生き残ってきたという事実を受け入れて、漢方薬を利用するというのが良いと思っています。西洋医学と東洋医学、その優劣を考えるのではなく、うまく両者を利用していくようにできたらいいなと思います。

 

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