漢方に親しむ 「真武湯 30」

体力が衰え、新陳代謝が低下し、体が冷えて、下痢気味という方に真武湯(しんぶとう)を処方する。高齢者にお出しすることが多いが、若い方でも意外とこの処方の適応となる方がおられる。歩くときに何かふわふわして、まっすぐ歩けないような感じがあるという訴えもよくお聞きする。体を温めてくれる附子という生薬が含まれた処方の一つである。めまい、腹痛、倦怠感、低体温、気力減退、むくみが出るなどの症状も見られる。

保険適応病名も適応となりうる症状も多彩だが、全体とすれば生きるエネルギーが枯渇傾向で、体が冷え、水の代謝循環を維持できないというイメージだろうか。

保険適応病名

新陳代謝の沈衰しているものの次の諸症
:胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性そう痒症。

《構成生薬暗記語呂合わせ》茯苓(ぶくりょう)芍薬(しゃくやく)蒼朮(そうじゅつ)生姜(しょうきょう)附子(ぶし)

◎ 真の良薬儒教節

生きる上で真(真武湯)の良(茯苓)薬(芍薬)となるのは儒(蒼朮)教(生姜)節(附子)、そう儒教の教えです。

ただし、私自身は、堅苦しい教えなるものは苦手です。どちらかといえば老子や荘子の世界観、さらには仏教の考え方がしっくりくるように感じています。

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