漢方に親しむ 「防風通聖散 62」

漢方を扱う薬局などに行くと、漢方のやせ薬として宣伝されたりするのがこの防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)。患者さんや看護師さんから時に処方してくれと言われる。その時は、「言っとくけど、これを飲んだからと言ってやせないよ。」と伝える。脂肪細胞などでの代謝が活発になり、基礎代謝が上がると言われてはいるが、決してやせ薬ではない。痩せようと思ったら、食事と運動をコントロールしなければ結局ダメ。

イメージとしたら、いろいろなものをため込んでしまって調子を崩した人に対して、たまったものを出させるというところ。発汗や利尿で水分を出し、下剤として働き便を排出することを目指している。メタボ体形の太鼓腹で便秘気味、高血圧やむくみを伴ったりという方に処方する。のぼせや頭痛、耳鳴り、肩こりなどを認める方もいる。

ドラッグストアでは、防風通聖散とそのままの名前で売られていることもあるが、ナイシトールとかコッコアポなども防風通聖散と言える。ナイシトールはおそらく内臓脂肪を取るということだろうから防風通聖散の一面をかなり強調したネーミングですね。

《保険適応病名》
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症
:高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘。

《処方語呂合わせ》防風(ぼうふう)黄芩(おうごん)甘草(かんぞう)連翹(れんぎょう)生姜(しょうきょう)石膏(せっこう)桔梗(ききょう)白朮(びゃくじゅつ)麻黄(まおう)山梔子(山梔子)荊芥(けいがい)芍薬(しゃくやく)薄荷(はっか)当帰(とうき)川芎(せんきゅう)滑石(かっせき)芒硝(ぼうしょう)となんと18種類もの生薬から成っている。

◎ 防風散 王冠大王 暁鐘 説教百述 迷う参詣者 初当選 渇望

防風散(防風)王(黄芩)冠(甘草)を載せた大王(大黄)が明け方の鐘、暁(連翹)鐘(生姜)とともに長々と説教を百述(白朮)している。何を言っているかよくわからず迷う(麻黄)参(山梔子)詣(荊芥)者(芍薬)は初(薄荷)当(当帰)選(川芎)を渇(滑石)望(芒硝)しているだけなのに。

生薬が18種類もあると、生薬構成の覚え方も長ったらしくなってしまいました。

コメント

  1. […] 試しに防風通聖散を服用してみた […]

  2. […] 肥満に使用する漢方薬としては、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)が有名です。脂肪の代謝を促進して基礎代謝を高めてくれ、便を出しやすくすることで減量を助けてくれます。 大柴胡湯(だいさいことう)も痔、不眠、糖尿病などの訴えがある人には利用できると思います。ただし肥満の保険適応はありません。 […]