漢方に親しむ 「桂枝加芍薬湯 60」

緊張したらお腹が痛くなるとか、ガスがたまってお腹が張るように感じるという訴えの方に、桂枝加芍薬湯を処方する。西洋医学的には過敏性腸症候群という診断のつくタイプの人だ。芍薬が過敏な腸の動きを整えてくれるのだろうと思っている。含まれる生薬の種類は、不思議なことに枝湯とまったく同じ。違うのは処方に含まれる芍薬の一日量が桂枝湯4gに対して桂枝加芍薬湯6gという芍薬の量だけが違う。この違いだけで対象とする患者イメージが全く異なるというのは、いかにも漢方薬の不思議なところです。急にお腹が痛くなったり下痢をしたりするから遠出ができない、という方も試してみるといいことあるかも。

保険適応病名は、腹部膨満感のある次の諸症:しぶり腹、腹痛

西洋医学的にはしぶり腹などという病名はありませんが、漢方薬を処方するときにはこれが保険病名となるわけですからおもしろい。コロナ騒ぎで給付金を出すとか出さないとか、国が出し渋っている状況と似ています。おなかが便を出し渋っているのか、便がなかなかでなかったり、出てもすっきりでなかったりしてなんだかおなかも痛む、というふうな状態をしぶり腹というわけです。

生薬構成の覚え方は、桂枝湯の生薬構成を覚えて、その中の芍薬の量を増やしたものと覚えてください。

桂枝湯 ・・・・・・ 桂枝、芍薬、    大棗、甘草、生姜

桂枝加芍薬湯 ・・・ 桂枝、芍薬(↑増量)、大棗、甘草、生姜

コメント

  1. […] 桂枝加芍薬湯 + 膠飴(こうい:みずあめ) […]

  2. […] 桂枝加芍薬湯に大黄を加味したのが桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)です。過敏性腸症候群と呼べるような方で便秘傾向のときに使います。便秘の薬でお腹が痛くなりやすいような人にも使います。また逆に腸炎で下痢気味の方に使って、症状が改善することもあります。このあたりが漢方薬の面白いところで、大黄が瀉下剤として働いたり、抗菌作用として働いたりと体の具合によって表に出る効果が違うことがあるのです。 […]