漢方における病気のステージ分類 「六病位」

医療

 中国から入ってくる医学情報を咀嚼し、吸収し、修正が加えられ、日本にあった医学、漢方が出来上がってきました。そんな中、江戸時代に原典に帰れということで、傷寒論という3世紀中国の医学書を大切にする流派が現れ、その流れは現在も漢方の主要なものの一つとなっています。傷寒というのは急性発熱性疾患を表しており、その病気の進行ステージを6段階に分かています。その分け方は、もともとは経絡に沿った考えで分けられているのですが、日本ではその意味合いが若干薄れているようです。さらに急性期だけではなく、少し無理がありますが慢性疾患にもこのステージ分類を当てはめて考えたりします。

 まず病期を陽病と陰病に分け、それぞれをさらに三つに分け、三陽病、三陰病と呼びます。そして一般的には、ねつを持っているような陽病から、熱も出せなくなる陰病へ移行していくと考えます。最初は太陽病から始まり、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)と進んでいくと考えます。

 発病の初期には、病気の原因が体表を侵した時期で、皮膚、筋肉、咽頭、骨格など触れたり見たりする表面近くに病勢がとどまっています。この時期を太陽病と呼びます。ずっと体の奥、裏まで入ってしまうと、消化管などの内臓に熱を持つようになります。この時期を陽明病期と呼びます。いわば病気の最盛期です。表面から奥に進む途中を半表半裏と呼び、ここに病邪がいると考える時期を少陽病と呼びます。かぜの症状で考えてみると、頭痛、発熱、筋肉痛などの症状は太陽病期、咳、食食不振、口の苦みなどが出てきた時期が、少陽病期、熱が上がり体が熱く下痢をしたりする時期が陽明病期、となります。

 これら陽の時期は、言ってみれば病気と闘い、熱を出す力を持っている状態とも言えます。この時期に良くなれば、すっきりと治りやすいことになります。しかし抗病力が落ち、熱も出せなくなり、寒の状態になると、陰病期と呼ばれるステージに入ります。

 陰病期の最初は、太陰病です。熱を出す元気がなくなり、体内が冷えてきます。次の少陰病に入ると、体の表面も奥も、表も裏も冷え体全体が冷えてしまいます。さらに進めば厥陰病となり、ここまでくると抗病力が落ち、病からの回復力も失われてしまいます。

 これら三陰三陽の状態は、病気の経過ですべてを通過するということではありません。太陽病から回復したり、さらに少陽病まで行って良くなったりしますし、いきなり寒気がして、起き上がるのもきついという状態の少陰病からスタートすることもあります。これは、病気の勢いと体の抵抗力の力関係で決まるといえます。

 漢方の診療では、病気がどの時期にあるのかによって、対応する処方が決まってきます。だから、診察をしてどの時期かを考えるわけです。もちろん、すべてがこの分け方に当てはまるわけではありませんから、当てはまらないときはほかの視点、例えば気血水や五臓などから考えることになります。

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