便秘に役立つ漢方薬

医療

排便にまつわる症状の中で便秘はありふれたものですが、快便だった人が急に便秘傾向になってきたり、便秘と下痢を繰り返すようになったりしたときは、大腸癌ができたりしていないか、必ず検査を受けましょう。あきらかな異常がない場合は、快便に導くお薬を処方することになります。ただ、高齢者になるほど便秘を訴える方が多くなり、高齢者は他の病気に対してもお薬を服用していることが多いので便秘ばかりのことも考えておられません。近年、いくつかの便秘薬も発売されましたが、がんこな便秘のためだけに薬の種類を増やし、それだけで3種類以上となるのも大変です。しかし、やめられないお薬の副作用として便秘になっていることもあり、どうしても下剤が必要になってくることもあります。そんなとき、漢方薬を利用するのも良い選択肢です。

漢方薬の場合、便秘だけに着目することは少なく、心身全体の症状を見たうえで、便通にも良い方向に働く方剤を選ぶことになります。一般的には、大黄という生薬が含まれている処方を使用します。大黄の持つ下剤作用、腸管を刺激して腸を動かす作用を利用するわけです。一方大黄が含まれているとお腹が痛くなるような方には、腸の動きが過剰にならないように整えてくれるような方剤を選ぶことになります。

便秘に単純に対応しているのは大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)で、大黄と甘草の2種類の生薬だけからできているものです。大正漢方便秘薬もこれです。一般的に漢方薬の場合、構成生薬数が少ないほど効きがシャープだが連続使用で効果が弱まってくるといわれておりますので、大黄甘草湯も短期間か頓服としての使用がお勧めです。ちなみに私はできれば大黄甘草湯以外を選択するようにしています。

頻用するのが、麻子仁丸(ましにんがん)です。大黄が便をだす方向に働く一方、芍薬が大腸の動きをそこそこにおさえ、麻子仁と杏仁が便に潤いを与え、厚朴と枳実で気分を整えます。なんだか3~4種類のお薬を飲むような、ちょっと得した気分です。便をだす力は強い方なので、人によるとひどい下痢になってしまうこともあります。1日1包から開始したほうが良い場合が多いです。

もっと優しいものなら、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)あたりでしょうか。過敏性腸症候群の方によく使う、桂枝加芍薬湯に大黄が加わったものですから、効き目はマイルドです。

一般的にお年寄りにはマイルドな処方をお出ししますが、高齢者の便秘は頑固なものも多く、特に寝たきりの方などはかなり消化管に喝を入れてあげないといけない場合があります。そんな時は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)という元気な人に使うようなものが必要なこともあります。血の循環をよくし、イライラも軽減してくれるような処方です。

これ以外にも便秘以外の症状を見ながら、いろいろな選択肢が用意されていますから、便秘を何とかしたい方は漢方専門医に相談するのも良いと思います。

また人の体の面白いのは、本来便秘のお薬ではないのだけれど、服用していると便通が良くなったということが起きるところです。そんなお話も、機会があればさせていただきます。

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