抗がん剤治療を受ける方を支える漢方薬

医療

 抗がん剤と言うのは癌細胞をやっつける、攻撃すると言う目的で開発されています。ところが、がん細胞とそのがんを患っている患者さんの細胞というのは出所が同じわけです。つまりご本人の細胞の遺伝子のコピーミスが積み重なってがん細胞となっているので、自分自身の細胞とはほとんど同じものなのです。ですから結果的に抗がん剤ががん細胞を攻撃しようとすると言う事は、患者さん自身の細胞も攻撃すると言うことになります。

 そのため、抗がん剤治療をするときには、患者さん自身にもいろいろ副作用が起きてきます。辛い副作用を少しでも軽くしてあげたり、体調少しでも良くしてあげるために、いろいろ薬を使ったり、抗がん剤の使い方を工夫したり、生活の仕方を工夫したりと行いますが、漢方薬を利用することも可能な場面がすくなくありません。代表的な例をお話ししてみます。

口内炎

 抗がん剤の副作用として、口腔内の粘膜がただれてしまって、ひどい口内炎を起こすことがあります。完全な予防は難しいですが、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)という漢方薬を、治療中を中心に服用していると、口内炎症状がひどくならない可能性があります。お湯に溶かして飲むと言うよりも口の中の粘膜に触れさせた後に飲み込むというのがお勧めです。なお半夏瀉心湯は、下痢を引き起こす抗がん剤を使用する時、その下痢を防ぐ目的でも使用されます。

しびれ(末梢神経障害)

 神経への悪影響から、手足がしびれるという副作用が出ることがあります。こんな時によく利用されるのが牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)です。牛車腎気丸は加齢に伴う変化に対応してくれるような処方ですが、抗がん剤による神経障害にも有効であることがわかっています。しびれを引き起こしやすいとされる抗がん剤を使用する前後に使用すると良いようです。

食欲不振

 抗がん剤治療後の食欲不振を改善するのはなかなか難しいですが、六君子湯(りっくんしとう)が有用です。嘔気を軽減し、食欲を出す効果があるとともに、元気をつけると言う作用も期待できます。ただし強い吐き気に対して漢方薬だけで対抗するのは難しい場合が多いです。様々な制吐薬(吐き気を抑える薬)をうまく使用することが必要となります。

体力低下

 心身ともに活動性が低下する場合も多いですね。体力が落ちて貧血傾向が出てきているようなときには十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)が第一選択に上がってきます。元気をつけ、栄養状態を改善させ、貧血も改善傾向に持っていってくれるような処方です。大きな手術の跡なども含めて全身状態が悪くなってきている方に使用します。その他、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)なども元気をつける目的で使用されます。

 がんの種類によって罹患しやすい年齢と言うのは異なってきますが、一般的には年齢とともにがんにかかる人は増えていきます。そうなるとがん治療を受けている方と言うのも高齢者の方が多くなりますので、高齢者に対する処方と言う意味合いでも漢方薬は治療のサポートに有用だと考えています。

 今日という日が皆さんにとって良き一日となりますように。

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