寒熱(かんねつ)というKampoの視点

漢方

皆さんお元気ですか?
コロナ禍の中、少し熱が出たりするとドキッとしますね。どこに行っても体温センサーがチェックしてくるのもなんだかうっとうしかったりします。しかも、きっちりと顔を定位置にもっていかないと測定しないセンサーなんかがあると、かがんだり、のぞき込んだりと面倒なことです。いずれにしろ体温を測るということは、私たちにとって見慣れた出来事ですね。でも体温を測るなんて行為は、比較的新しいことなのです。

体温計の原型が作られたとされるのが1600年代初頭。そこそこ正確なめもりが付けられたのは1700年頃。そして病人の体温を測るようになったのは1800年代半ばということです。かなり最近のことですね。

当然、漢方の源流が形成されたとされる、黄帝内経(こうていだいけい)という書物が編纂された前漢の時代に体温を計っているはずがありません。しかし、体を観察する指標の一つとして寒熱(かんねつ)があります。これはさむいか、あついかということですから、体温をイメージするかもしれませんが、実際の体温とは必ずしも一致しません。

病気の時におこる体の反応として、熱をもったり、赤く充血したり、熱く感じたりといった熱性のものがみられるか、体が冷えたり、血流が低下したり、寒気を感じたりといった寒性のものがみられるかを観察するものなのです。そして、例えば今計測して体温が39℃まで上がっていても、本人が寒気を感じてぶるぶる震えているようだと、寒の状態ととらえます。インフルエンザにかかって最初ぶるぶる震えているときは寒の状態なのですから、漢方診療ではあたためてあげないといけないわけです。氷枕をしたり、解熱剤で無理に熱を下げたりしてはいけないのです。病状がすすんで、本人も熱くてフーフー言い出すと熱の状態ですから、ここで初めて冷やすことを考えるわけです。

実際に温めたり冷やしたりするだけでなく、漢方薬も寒熱の状態によっては体を温める生薬が強く働くものを使ったり、熱い部分を冷やす生薬の働きが強い処方を使ったりと、寒熱によって処方選択もかわってきます。

関節痛があるときなどは、お風呂で温めたりすると痛みが楽になるなら寒ととらえます。逆に冷やすと楽になるなら熱ととらえます。寒なら桂枝加朮部朮附湯(けいしかじゅつぶとう)や疎経活血湯(そけいかっけつとう)などを使い、熱なら越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や薏苡仁湯(よくいにんとう)を使う、といった具合です。漢方的には寒があって痛みがでているところで、解熱鎮痛剤をつかうとさらに冷やすことになります。すると痛みが一時的にとれてもかえって痛みが難治化するなんてこともおこることがあります。

熱けりゃ冷やす、寒けりゃ温める。漢方というのはなんとも体に優しい、そして自然な考え方をする治療体系ですね、。普段の体調管理に漢方薬をお勧めする所以のひとつです。

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