めまいと一言で言っても、ぐるぐる回るようなもの、ふわふわしてしっかり歩けないような感覚があるもの、立ちくらみがするというようにさまざま。平衡感覚がしっかりしていない感じがして、移動がすこしこわくなりますね。さらに重大な脳の病気があるような不安も感じたりします。
実際に重大な病気が隠れていることもありますから、めまいが続くならば脳神経外科・内科、耳鼻咽喉科などで診察を受けることが大切です。大きな異常がなければ、必要ならばなんらかのお薬を処方してくれるでしょう。それでもなかなか改善がないときは、漢方薬を試してみましょう。
漢方的には、気・血・水のいずれのバランスが崩れてもめまいの原因になると考えます。めまい以外の症状なども総合的に判断して、様々な方剤を利用することになりますが、よく使用するのは水のバランスを整えてくれる処方です。代表的なものを挙げてみます。
五苓散（ゴレイサン）：天気が悪くなる時調子も悪くなるような人に使用します。水バランスを整える筆頭選手です。喉の渇きや尿量が少ないこともあります。他の方剤と一緒に使うこともあります。めまいの時に頓服で使うことも多いです。細胞レベルで水の代謝をととのえてくれます。低気圧が近づいてくると頭痛やめまいがするという方には良いと思います。
苓桂朮甘湯（リョウケイジュツカントウ）：のぼせや動悸といった、漢方でいう気逆（きぎゃく）という状態の方に使います。茯苓や蒼朮といった水バランスを整える生薬が入っています。立ちくらみを訴える方に使用します。バランス感覚を改善してくれるとともに、不安感やイライラがとれて気持ちが落ち着くかもしれません。
半夏白朮天麻湯（ハンゲビャクジュツテンマトウ）：めまい全般につかわれます。元気があまりなく、胃腸が弱い人に使います。胃腸機能を高め、水代謝を整え、体を温め、めまいを改善してくれます。効果が出るのに少し時間がかかるので、一か月以上は試したほうが良いかもしれません。
真武湯（シンブトウ）：新陳代謝が落ちて元気がなく、軟便から下痢傾向の方で、なんだかふわふわするようなめまいを訴える方に使います。まっすぐ歩けないというような訴えをされます。
水のアンバランスが主ではないようなときには、桂枝茯苓丸（血の巡りをよくする）、柴胡剤（柴胡の入った処方）、黄連解毒湯（カッカとする気を静める）その他いろいろ利用します。
ひどいめまい発作というのは、転倒の危険性をはらみます。急に発症することも多いので、運転中にひどいめまいが起きたりすると危ないですね。かといって、なかなか薬も効きにくいですから困ったものです。西洋薬でどうも今一つ、というときには漢方薬も一緒につかえばうまくいくこともあります。
体調を整えて、穏やかな日々を送りたいですね。
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