「血の巡りをよくしよう」

 漢方では、気(き)、血(けつ)、水(すい)がスムースに流れている状態を目指します。この中で「血」の流れが滞っている状態を瘀血(おけつ)と呼びます。皮下出血、静脈瘤、いぼ痔、月経にまつわる異常、冷え、色素沈着、頭痛その他、瘀血が関係して症状が出ていると判断したときには血の流れを良くする必要があります。そんな時使用する漢方薬が、駆瘀血剤(くおけつざい)といわれる処方です。
 代表格は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。生理痛、肩こり、頭痛、ほてりなどの症状改善を目指します。打撲やいぼ痔の治療にも利用します。
 瘀血に便秘、イライラ、不安などを伴うときには、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を使います。
 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、冷え、浮腫みや貧血傾向を改善するとともに血のめぐりを良くしてくれます。腹痛に効くこともあります。
 駆瘀血作用が強いとされるのは通導散(つうどうさん)です。打撲で腫れあがっているときなどはこれが良いようです。これで下痢になってしまうときには最初だけ通導散であとは桂枝茯苓丸という使い方もします。
 他にもありますが、生薬の当帰、桃仁、牡丹皮などが含まれている処方には、駆瘀血作用を期待しているものが多いようです。血の巡りを良くしてあげると、当初訴えている症状以外にも効果が出て、体調がよくなることもよく経験します。気になるシミが薄くなることもあります。
 漢方を取り入れ、体の調子を整えて、一度きりの人生を少しでも元気にすごしましょう。もちろんよく体を動かし、食べ過ぎず、休養を取るなどの養生が第一ですけどね。

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