痔にだって漢方

外科では痔の患者さんをよく診る。外科医からすればおしりは見慣れた風景にすぎないけれど、見せるほうにすれば一大決心で受診されていることが多いので、なるべく穏やかに診察をすすめていく。本人は手術する気満々で来た時も、2週間ほど座薬や内服薬を使うとかなり症状が軽快することが多い。座薬といっても痔一筋でやっていますみたいな会社が出している、医療用医薬品でないようなものではなく医薬品を使うほうがよいようだ。痔の治療を熱心にしていた私の先輩は、小白堂?なんかの薬を使って悪くなってくる人が多い!と怒っていたのを思い出す。先輩が言っていたことですから私へ文句を言わないでくださいね。

内服薬はいわゆる西洋薬の痔の薬といわれるものより、漢方薬のほうが良い印象を持っている。私が処方するのは座薬と漢方薬である。それでかなり良くなる。

痔の漢方薬の代表選手は乙字湯。これは製薬会社によって大黄の量が異なるので、患者さんの便通の状態によって会社を変えたりしている。肛門括約筋が緩んでいて脱出傾向があるような人には補中益気湯が良いことがある。出血が主訴の方なら芎帰膠艾湯を合わせて出したりする。血の循環を良くしていぼ痔を良くしたほうがよさそうだというときには、桂枝茯苓丸、当帰建中湯、通導散その他から選択する。

お薬の治療を2週間くらい行ってもう一度診察する。初診で手術を希望していた方の多くは、予想以上に具合が良くなって、話しにくそうに「もう少し薬で様子を見ていいですか?」となることが多い。意外と大した痔でない方のほうが、細かいところまで気になり、手術を希望されたりする。まあ手術といってもなるべく負担がかからないようにしているので、昔の手術のように術後は痛みとの闘いというようなことはない。

痔で悩んでいる人は、一度はお尻を見てもらいましょう。痔とのお付き合いがずいぶん楽になると思いますから。

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