手当て

消化器外科医として長くやってきたので、診察の時には患者さんの体に触れて具合を見るのが当たり前になっています。そのうえ漢方に興味を持ち、診療に利用しているので、さらに体に触れるようになりました。触れることによって情報を少しでも得るという診察スタイルになっています。特に初診の方は良く触れる。

顔をみる。舌をみる。脈の具合を見る。お腹に触れて、皮膚の緊張や温度、硬いところはないか、押さえて痛むところはないか、弱いところはないか、などは漢方診察で、次にしこりは触れないか、炎症所見はないかなど外科医としての目線でみる。さらに四肢に冷えはないか、体を動かして突っ張ったり痛んだりするところはないかなども見る。

私にとっては、患者さんの状態をしるよすがとしての触診だが、患者さんにとっては診察を受けているという安心感になることもあるようだ。定期的に通っている方の場合はあまりお腹までは触らなくなったりするが、脈をとるだけでも、「ちゃんと診てくれるから安心できます。」と言われることがある。医者が患者さんに触れるということは、具合を見るという診断の意味とともに、手を当てるという治療の意味合いも含まれていることに気づかされる。

 

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