M-TESTの紹介その2

私たちは、何気なく体を使い日常生活を送っていますが、体を動かすためには全身の筋肉を様々に収縮させたり弛緩させたりしています。人体に600以上あると言われる筋肉を、微妙に使い分けているわけです。
例えばキッチンで野菜を切っている時、包丁を持った手と野菜を固定する動きに注意が向くと思います。しかしそれだけではなく「頭を支える筋肉」「眼球を動かす筋肉」「上半身の腹、胸、背中の筋肉」そして「上半身を支える下肢の筋肉」などのすべての絶妙なバランスがあって、初めてうまく野菜を切ることができるのです。さらにそれらの筋肉をつつむ「筋膜」や全身を覆う「皮膚の張力」などまでも含めて、体のバランスを調整して私たちは生きているのですからすごいことですね。
しかし、人にはそれぞれ体を動かすときの癖があるようで、バランスを取るために「過度に負担がかかる場所」ができることがあります。すると、知らないうちに無理(疲労)が蓄積し、痛み、しびれ、突っ張りなどの症状が出現してくることがあるようです。
福岡大学スポーツ科学部教授の向野先生が考案された「Mテスト(経絡テスト)」では、体の動きをチェックすることによって、どこに無理がかかり、どこの動きが悪くなっているかを推察するものです。その場所は、実際に症状がある場所から離れていることが多いのですが、結果に応じた体表の重要なポイントを刺激してあげると、症状が軽減したり消失したりすることが少なくありません。刺激を加える方法には、マッサージ、ストレッチ、指圧、注射、鍼などがあります。
ツボごとの効能などを列挙した情報は世間に氾濫していますが、実際どこを押せばよいのかわかりません。しかし動きのチェックから刺激すべき場所を推測できるMテスト法なら、刺激するとよいツボを的確に予想できます。経絡刺激で体調アップと行けばよいですね。
私はこの方法論の基本的なところを診療に取り入れていますが、漢方診療と同様に、全身のバランスを見ることが大切だと教えられています。

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