無常観

無常観というと、すべてが移ろう虚しさに包まれ気分がブルー、というイメージを持つ人も多いと思う。でもこの言葉をよく見ると、わざわざ”観”を使っており、”感”ではない。気分を言っているのではなく、この世の中をどう見るかということを言っているのである。

私たちは、明日も今日と変わらぬ日常がやってくると思って生きている。しかし、すべては刻一刻と変化していくのであり、変わらぬものなど何もないという事実をしっかり観て、生きなければならない。万物流転という真実をしっかり認識していれば、無常観を身に着けたと言えるのだろう。

この瞬間を味わい、目の前の人を大切にし、今やっていることに集中し、今日という一日を大切にしなければならないという思いも、無常観を持てば備わってくるのだろう。肩に力を入れる必要はないだろうが、そんな思いとともに日々感謝し、味わいながら死ぬまで生きていたいものである。暇つぶしなどというような、暇な時間など誰にもないはずなのである。生まれた時からより、死ぬまでの時間がずっと短い年齢になって、ますますそう思う。

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