漢方に親しむ 「当帰芍薬散 23」

貧血傾向で冷え性、水っぽくてむくみやすい、体力がなくて疲れやすい、おなかが痛むという方に処方します。イメージは竹久夢二が描くほっそりした色白美人とされていますので、当帰芍薬散が合いそうな方を当芍美人などと表現されることもあるようです。しかしあまりこのイメージに引っ張られすぎる必要はありません。水ぶとりと感じる方もいますし、色白でない方もいます。大昔の本には、女性の腹痛に対して広く用いるとも書かれていますが、男性にも使います。要は、血が足りなくて(血虚)、水の代謝がうまくいっていない(水滞)虚弱傾向の方に使うわけです。

保険適応病名は

筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症

:貧血、倦怠感、更年期障害(頭痛、頭重、めまい、肩こり等)、月経障害、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症。

ということですが、病名はエキス剤を出している製薬会社によって微妙に異なります。これは当帰芍薬散以外のエキス剤でもそうです。

《生薬構成の語呂合わせ》当帰(とうき)芍薬(しゃくやく)蒼朮(そうじゅつ)沢瀉(たくしゃ)川芎(せんきゅう)茯苓(ぶくりょう)

◎当芍美人 受託 千両

とびきりの当(当帰)芍(芍薬)美人というのはいろいろ頼まれちゃいます。それを受(蒼朮)託(沢瀉)して、得たお金が千(川芎)両(茯苓)。すごくない?美人はいいよねぇ~。

まあ、美人の判断は人それぞれでして、夢二の描く女性が美人と感じるかどうかもいろいろでしょう。わたしなどは、ほとんどの女性がそれぞれ美しいと感じる(こともある)お年頃になってきましたので、当帰芍薬散の適応範囲はずいぶん広くなりました。最後に繰り返しますが、男性にも使います。

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