漢方に親しむ 「安中散 5」

胃が痛いという訴えに安中散(あんちゅうさん)を処方します。といっても、普段から胃腸虚弱傾向で神経質というかたに使うことが多いというイメージです。元気いっぱいという方にはあまり出しません。症状とすると胃十二指腸潰瘍に似ているかもしれません。ただ内視鏡で潰瘍はなく、一応胃酸を抑えるお薬を題しても症状があるという方が、安中散で楽になったりということもあります。中といのは体の中、胃腸を表わしており、それを安ずるから安中散。お腹を温めて整えてくれます。

《保険適応病名》
やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、とき
に胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う次の諸症:
神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニー。

保険病名には上がっていませんし、私も経験はありませんが、アニサキス症に効くとされています。生鮮魚介類を食べた時にアニサキスが入り込み、こいつが胃壁に食らいつくと強烈な痛みを引き起こします。内視鏡でアニサキスという虫を見つけ出し鉗子でつまみ出すと痛みが取れます。内視鏡が準備できないとき、安中散を服用してみるのもよいかもしれません。

《生薬構成を覚える》桂皮(けいひ)延胡索(えんごさく)牡蛎(ぼれい)甘草(かんぞう)茴香(ういきょう)良姜(りょうきょう)縮砂(しゅくしゃ)

◎中が安心 敬遠、冷環境 今日 宿舎

中にいるのが安心(安中散)、 敬(桂皮)遠(延胡索)したいね冷(牡蛎)環(甘草)境(茴香)、今日(良姜)は宿舎(縮砂)に居よう。

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