漢方に親しむ 「大黄甘草湯 84」

便秘を何とかしてくれと受診される方は少なくありません。漢方の便秘薬といえば大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)となります。最も基本的な処方で、タケダ漢方便秘薬も大正漢方便秘薬も大黄甘草湯製剤です。これは構成生薬を覚えるも何も、書いてある通り大黄と甘草の2味でできています。生薬の数を1味、2味と数えるところも、いかにも自然物を味わうという感じがしますね。ちなみに八味地黄丸は8種類の生薬から構成されています。

大黄が便を出す方向に働き、甘草はその働きを緩やかにして腹痛などが起きにくくしているとされています。コーラックなどでお腹が痛くなる人も、これだと腹痛が出にくくなるようです。大黄甘草湯でもお腹が痛くなるなら他の処方を考えます。

《保険適応病名》   便秘

気になる症状が便秘だけということであれば大黄甘草湯が第一選択になるかもしれません。しかし便秘以外にもいろいろと体の不具合を訴える方もおられます。症状や体質を考慮して、桃核承気湯、通導散、麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯その他から適応しそうなものを考えます。私の場合は、麻子仁丸から始める場合も多いです。漢方薬の面白いところは、服用することにより便秘以外の体の不調も取ってくれることがあることです。そこを狙うのが漢方処方の面白みの一つでもあります。なお、漢方薬は構成生薬の少ない方がキレがよいと一般的に言われ、また連用により効果が落ちてくるともいわれます。そう考えると、大黄甘草湯の使い方は常用というより、必要時短期間とした方がよいかもしれません。

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