胃瘻がもつ積極的意味

 

胃瘻と聞けば、無駄な延命手段ととらえるむきも多いようですが、胃瘻を利用して社会生活を送っている方もおられます。どのような状況で、何を目指すかによって、胃瘻という手段も人生を積極的に生き抜く手段となります。咽頭がんその他の理由で口から栄養が取れない状況でも胃瘻があれば大丈夫。最近では、パーキンソン病の治療薬を安定して消化管に送り込むために胃瘻を利用する治療法も行っています。

胃瘻とはお腹に穴をあけて胃とつながった状態になったものを言います。口から食事がとりにくくなった方に栄養をそこから入れてあげるために、或いはおなかのしこりなどの影響で胃の下流に食事が流れていかなくなり嘔吐するような方に逃げ道を作ってあげるために胃瘻を作ります。

昔なら、上腹部に5~10cmの切開を加えて普通の手術として行っていました。しかし近年では局所麻酔をして内視鏡下にで胃瘻を作る場合がほとんどです。ただし通常の手術と違い、直接胃の壁を確認することができないので、安易に行うと胃のすぐ近くにある肝臓や結腸を傷つける危険性があります。そこで、おなかを指で押すのを内視鏡で確認したり、内視鏡の光が腹壁を通して見えることを確認したり、局所麻酔を行う細い針を胃の中に入れるまで空気が引けないことを確認したりして、まず大丈夫だろうということで処置を始めるわけです。だから100%、絶対大丈夫とは言えないところがつらいところです。そこで私はさらに透視も併用しています。透視以外の確認方法で大丈夫と思えたものでも、透視で見ると結腸が胃の前にかぶさっていたなどということが何度かあったので、透視による確認はしたほうが良いと思っています。以上の確認で、内視鏡下に胃瘻を作るのが危ないと判断すれば手術による胃瘻造設となります。

内視鏡下に胃瘻を作るのは、いったん始まれば、局所麻酔をして胃瘻のカテーテルが入り終了するまで5分程度で終わります。胃瘻というのは単なる延命処置ではありません。胃瘻からの栄養補給を行いながら家庭で日常を送る方もおられます。もし胃瘻の話が出たら、毛嫌いせずに一度よく聞いてみることをお勧めします。お風呂だって入れますよ。

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