漢方に親しむ 「五苓散 17」

年齢により変化しますが、人体は体重の6割程度が水とされています。ですから水分のバランスというのが重要であるのは当然と思われます。西洋医学では補液を必要とする脱水とか水中毒とかになると出番ですが、普段の診療で水分バランスの考え方を重視することは少ないと思います。一方漢方では、水のバランスが崩れて体調が悪くなっているとの考え方を重視します。水の流れが滞っている状態を水滞(水毒)と呼びます。水のバランスと整える漢方薬の代表が、五苓散(ごれいさん)です。構成する五つの生薬のうち四つが水の分布不均衡や水分量の調節をしてくれます。

水のアンバランスゆえに発現していると考えられる、めまい、口喝、浮腫み、頭痛、下痢などがあればまず五苓散が頭に浮かびます。しかしこれらの症状は水の問題ではないこともありますから、よく考える必要があります。

保険適応病名
口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病。

構成生薬記憶語呂合わせ》沢瀉(たくしゃ)猪苓(ちょれい)蒼朮(そうじゅつ)桂皮(けいひ)茯苓(ぶくりょう)

◎五礼 たくさん 著述 敬服

なんども礼を、五礼(五苓散)します。 たくさん(沢瀉)の著(猪苓)述(蒼朮)を世に出していることに、敬(桂枝)服(茯苓)いたします。

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