漢方に親しむ 「麻黄湯 29」

比較的体力のある方が、悪寒、発熱、頭痛、関節痛などの症状があり、普通の風邪より少しひどいかなというときに、麻黄湯を処方しています。熱があっても寒気を訴えれば温めるという発想通り、麻黄は桂皮と一緒になり体を温め発汗を促してくれます。イメージとすれば明らかなインフルエンザ症状の時に使用するという感じです。実際にインフルエンザの時などは解熱鎮痛剤などを使うより麻黄湯のほうが症状が早く取れたり、抗インフルエンザ薬と同等の効果を示したりという報告もあります。

麻黄は 発汗、解熱、鎮咳、去痰などの効果があるとされます。注意点は麻黄の中にエフェドリンが含まれるので、血圧をあげたり、夜服用すると眠れなくなったりというところです。ですから麻黄は高齢の方や高血圧の方にはちょっと使いにくい生薬です。桂皮も温める方向に働き、杏仁は鎮咳効果を期待しています。

保険適応病名

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗のでないものの次の諸症
:感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難。

《生薬構成を覚える語呂合わせ》麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)

◎ 魔境関係

恐ろしい魔(麻黄)境(杏仁)での関(甘草)係(桂皮)性。

まおうと聞くと魔王を思い浮かべるというステレオタイプの発想ですみません。ただ生薬の中で使用に注意が必要な生薬の一つが麻黄ですから、ちょっと怖めのイメージがあったほうが良いかもしれませんね。

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